尻別川の河岸崖を形成する
喜茂別溶結凝灰岩
伊達市大滝区から国道276号を喜茂別市街に向かうと,両脇に高さ10数m以下の白い崖が点在している.これらは約4万年前に噴出した支笏火砕流堆積物の露頭である.しかし喜茂別町鈴川を越えたあたりから崖の雰囲気が少し変わる.やや硬そうな印象となり,また節理らしい幾何学模様も見られることも多い.これは喜茂別溶結凝灰岩である.知らないとそのまま見過ごして支笏火砕流堆積物と勘違いしたままとなるので注意しておこう.
喜茂別溶結凝灰岩の溶結度はわずかにオーバーハングする崖ができる程度である.径数10cmに達する白色軽石の他,径数cmの灰色軽石や安山岩片も頻繁にみられる.基本的に塊状であるが,部分的にうっすらとラミナ様の模様が観察されることもある.構成粒子は,火山ガラスを主体とし,鉱物として径数mm大の石英および長石の破片が多く,輝石や角閃石も認められる.
喜茂別溶結凝灰岩とよく似た溶結凝灰岩が,尻別川(喜茂別町),長流川(伊達市大滝区)貫別川,貫別川(豊浦町)などにも,分布している.これらが1回の活動で噴出したものであれば,かなりの規模の火砕流であったと考えられる.本溶結凝灰岩は伊達市大滝区において徳舜別粘土層に覆われていることから,活動時期は第四紀初頭の活動であったとされている.
所在地
喜茂別町 尻別・福丘
参考文献
太田(1956)5万分の1地質図幅「虻田(札幌-50)」および同説明書.地質調査所,84p.
斉藤ほか(1954)5万分の1地質図幅「留寿都(札幌-39)」および同説明書.北海道開発庁,33p.
土居ほか(1958)5万分の1地質図幅「豊浦(札幌-49)」および同説明書.北海道開発庁,40p.
藤原(1954)5万分の1地質図幅「壮渓珠(札幌-40)」および同説明書.北海道開発庁,82p.
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