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赤い絨毯に黒屏風

興部川 赤岩の滝

赤い河床の先に黒い壁を落ちる滝.まるで赤い絨毯の先に立つ黒い屏風.黒い屏風は塊状安山岩溶岩.赤い絨毯は高温時の酸化作用の影響を受けた火山砕屑物が二次堆積した火山礫凝灰岩.【写真: 垣原康之】
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河床一面が赤褐色を呈する二次堆積した火山礫凝灰岩.【写真: 垣原康之】
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赤色化した火山礫凝灰岩の断面.内部にはラミナ構造が確認される.赤い滑らかな線は砂〜シルトサイズの粒子の濃集層.【写真: 垣原康之】
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黒い屏風をなす塊状安山岩溶岩.写真ではわかりにくいかもしれないが柱状節理が発達している.柱状摂理内部には板状の節理が発達している.【写真: 垣原康之】
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西興部村,興部川上流に「赤岩の滝」がある.落差は約8mと高いとは言えないが,黒い崖から豊富な水量が直瀑となって滝壺に落ちている.ところが滝壺から下流は赤い絨毯を敷いたかのように見事なまでに赤い.風景としても,一見の価値のある滝である.

黒い崖は,中期中新世頃に活動した塊状の安山岩溶岩であり,やや不規則ではあるが柱状節理とその内部に板状節理が発達している.一方,赤褐色の岩石は,高温のマグマが冷却時に空気と触れることで酸化された岩片である.ただし,粒径はシルト〜細礫サイズであり,断面では水流の影響を示唆するラミナや薄層が観察されることから,上述した岩片が水流で再移動した後,堆積したものと考えられる.

「赤岩の滝」へは,国道239号を下川から西興部に進むと左手に「行者の滝」の大きな看板があるので左折する.ここから4.5km先に「行者の滝」,さらに3.7km先に「赤岩の滝」の駐車場がある.ここからウッドチップが敷き詰められた遊歩道を下ると数百mで到着する.整備されているとは言え,山奥となるので天候や熊などに注意が必要である.

【執筆者:垣原康之】

所在地

西興部村 字奥興部

リンク

西興部村の観光(西興部村)

網走西部森づくりセンター

参考文献

西興部村史編纂委員会(1977)西興部村史.西興部村,936p.
北海道開発庁(1969)5万分の1地質図幅「上興部(網走-第9号)」および同説明書,25p.

 

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