若い女行者が水垢離修行した滝
興部川 行者の滝のハイアロクラスタイト
明治時代,この滝にて水垢離をした若い女行者が実在した.以降,この滝は「行者の滝」と呼ばれることになる.現在は滝の上にはしめ縄が張られ,滝の前には立派な石碑が建立されている.毎年7月には「行者の滝まつり」が開催されており,道内から多くの参詣者が集まる霊験あらたかな滝とされる.
滝を構成している岩石は,水中に噴出した安山岩質マグマが急冷・破砕しつつ堆積した「ハイアロクラスタイト」である.ハイアロクラスタイトは,構成礫の粒径だけで見れば凝灰角礫岩であるが,水による急冷破砕のため基質は火山ガラス(多くはパラゴナイト化を受けて黄色味が強い)から構成され,含まれる礫も発泡孔を伴う黒色ガラス質である.また堆積構造が観察される.なお滝の河床には微閃緑岩が貫入している.いずれも中期中新世頃の火山活動により形成されたと考えられている.
国道239号を下川から西興部市街に進むと左手に「行者の滝」の大きな看板があるので左折する.ここから4.5km先に「行者の滝」がある.地域の信仰の場でもあるため,マナーをもって観察してほしい.
所在地
西興部村 奥興部
リンク
参考文献
道北地方地学懇話会 編(2000)道北の自然を歩く.北海道大学図書刊行会,269p.
北海道開発庁(1969)5万分の1地質図幅「上興部(網走-9)」および同説明書.25p.
西興部村史編纂委員会(1977)西興部村史.西興部村,936p.
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