中新世(1800万年前)に貫入した花崗岩
一の橋花崗閃緑岩体
下川町市街から国道239号線を東へ進むと,天北峠にさしかかる2kmほど手前で,北へ大きくカーブする.このカーブの手前の名寄川河床に「一の橋花崗閃緑岩体」が露出している.国道は河床よりも高い位置を通っているため,車で気分よく走っていると,通り過ごしてしまうかもしれないので注意.河床に降りてみると花崗閃緑岩の全面露頭となっている.岩石は角ばっているようにみえるが,角は丸みを帯びている.花崗岩は得てしてこのような顔つきをしやすい.
「一の橋花崗閃緑岩体」は,約1,860万年前に日高帯の粘板岩(主にサクルー層)中に貫入した.白色〜透明の長石・石英を主体として,黒〜茶色の鉱物角閃石・黒雲母が点在する,いわゆる「みかげ石」である.この花崗閃緑岩体と接する幅約2kmの粘板岩は熱変成作用を受け,黒雲母・斜方輝石・菫青石・ざくろ石などを含む泥質ホルンフェルス帯が形成されている.
奥サンル林道脇の露頭では,一見すると国道脇の河床と同様の顔つきをしているが,触ってみるとすぐぼろぼろに崩れることがわかる.このような状態を「マサ(真砂)」と呼ぶ.河床部でも風化作用受けて「マサ」となるが,水流で運ばれてしまう.このため堅い岩石が露出している.花崗閃緑岩は建材や砕石に,「マサ」は土壌改良材やグラウンドの水はけをよくするために使用されることがある.
所在地
下川町 一の橋
リンク
参考文献
Ishihara,S.,Terashima,S. (1985) Cenozoic granitoids of central Hokkaido, Japan - An example of plutonism along collision belt- . 地調月報, 36, 653-680.
前田 仁一郎,平間 正男,末岳 晋一 (1988) 中央北海道北部,一の橋地域の深成岩類と接触変成岩類−予報−. 日高・神居古潭・常呂帯総研連絡誌「北海道の構造帯−岩石とテクトニクス」,No., 3, 71-75.
北海道開発庁(1955)5万分の1地質図幅「下川(網走-12)」および同説明書.54p.
関連するジオサイト