長く伸びる柱状節理
美深町仁宇布 女神の滝
仁宇布の山奥にある女神の滝は長く伸びる柱状節理が美しい安山岩岩体である.二十五線川の流れに斜交して伸びる柱状節理は,上流に向かう女神がまとう衣服の長い裾を想像させる.周辺には仁宇布山・松山湿原・沼岳などの頂上が平坦な山が分布する.これらは中期中新世(12-10Ma頃)に活動した安山岩岩体である.これらと女神の滝の岩体は同時期に活動したものと思われる.一般に柱状節理は冷却面に対して垂直に形成されることが多い.女神の滝の柱状節理は斜めに寝ており,また周辺地層との境界が不明であるため,ここだけでは地表を流れた溶岩であるのか,岩脈などの貫入岩体であるのかはわからない.
女神の滝は,松山湿原に向かう道路の途中で右に折れて林道を進む.途中「平成の名水百選(環境省)」に選定された仁宇布の冷水を横目に見ながらさらに進むと,雨霧の滝の駐車場に到着する.ここから右岸に設置された遊歩道を5分ほど進むと女神の滝に到着する.周辺(特に柱状節理)は非常に滑りやすいため,足下に注意が必要である.
所在地
美深町 仁宇布
リンク
参考文献
土井 繁雄,酒匂 純俊,金山 喆祐,太田 昌秀 (1960) 5万分の1地質図幅「仁宇布(網走-5)」および同説明書. 北海道開発庁, 37p.
後藤 芳彦,中川 光弘,和田 恵治 (1995) 北海道北部の中新世火山活動の活動場:K-Ar年代と化学組成からの推定. 岩鉱, 90, 109-123.
平原 由香,周藤 賢治 (2003) 北海道礼文島,ドレライト質スコトン岬貫入岩体の内部構造と形成過程. 地質雑, 109, 442-458.
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