沈み込み帯近くの海嶺で形成された海洋リソスフェア
ウェンザル林道のポロシリオフィオライト帯
西のイドンナップ帯と東の日高変成帯に挟まれた地質体が,ポロシリオフィオライト帯である。南は新ひだか町静内川上流から,北は日高町沙流川上流まで延長約60km,東西の幅は1〜4kmである。全体としては,厚さ約6kmの海洋地殻である。
ウェンザル林道は国道274号の標高約600mの地点から沙流川支流の二ノ沢に沿って南下し,ウェンザル川上流の奥沙流ダムに到る林道である。この林道沿いにポロシリオフィオライト帯と日高変成帯の境界が分布する。ポロシリオフィオライトの典型的な岩石は,奥沙流ダムから直線距離で約1.5kmの南に凸のカーブで見られる。緑色普通角閃石角閃岩で片理が発達している場合が多い。
この露頭の300mほど東(上流側)には,日高変成帯のかんらん岩の露頭がある。つまり,この間に日高主衝上断層が通っていることになる。5万分の1地質図幅「千呂露」も20万分の1シームレス地質図も,ポロシリオフィオライト帯の境界は現地と異なっている。
既存の指定など
日高山脈襟裳国定公園(1981年10月1日指定)
所在地
日高町 千栄
参考文献
宮下純夫,田中真二,2010,4.2 ポロシリオフィオライト帯.日本地質学会編「日本地方地質誌1 北海道地方」,118−130.朝倉書店.