札幌市街の西は平地から急激に山々が立ち上がっている.札幌北東部の平地から見ると南から空沼岳,狭薄山,札幌岳,藻岩山,三角山,砥石山,神威岳,百松沢山,手稲山,銭函天狗岳などである.
これらの山々の中では札幌岳が標高1,293m と最も高く手稲山は1,023m である.石狩平野に近い位置のある藻岩山や三角山はこれらより低く標高600m 以下である. いずれも安山岩溶岩や安山岩質火砕岩類から構成されていて,時代は後期中新世から中期更新世に及んでいる.
この札幌西方の山地の列は,石狩低地から約20km 南西の位置にある空沼岳,札幌岳の列と石狩低地に近接している藻岩山,手稲山の列が,それぞれ南東-北西方向に配列している.
形成年代は,藻岩山が2.4~2.8Ma(Ma=百万年前),手稲山が3.7Ma で鮮新世~更新世であるのに対し,空沼岳が0.8Ma,札幌岳が1.2Ma と前期更新世である.ただし,空沼岳と札幌岳の間に位置する狭薄山は2.2Ma,北西に位置する無意根山は3.0Ma の形成年代を示している.
これらの安山岩類はかって「平坦面溶岩」と呼ばれた.札幌から見える山々だけでなく小樽内川あるいは定山渓の西方に分布する無意根山(標高1,460m),余市岳(同1,488m),朝里岳(同1,281m)などを中心に定高性の山地が広く分布していて,後志火山性台地と呼ばれている.
Presented by Editor Masayuki Ishii.