明治初期から利用された山をMランドから見る
室蘭の測量山
室蘭の測量山(そくりょうざん)は,1872(明治5)年に函館から札幌までの「札幌本道」を造るときに,アメリカ人技師のウォーフィールド(A.G.Warfield)が,この山に登って路線の見当を付けたと言われている。恵山から羊蹄山までが見え,地球岬はもちろん鷲別岳山麓一帯の緩斜面と段丘面を見渡すことができる。
この測量山の地質断面の一部を,追直(おいなおし)漁港のMランドから見ることができる。Mランドから測量山の海食崖を見ると西側は右傾斜で,東に行くにつれて次第に水平から左傾斜に変化している。測量山を通る北北西−南南東の向斜軸が現れていると考えられる。西側に黒色の層が見えるが,これは流紋岩質のハイアロクラスタイト(図幅での地層名:室蘭層ハルカラモイ石英粗面岩質集塊岩)であろう。崖の主体は白色と淡褐色の地層で、凝灰質砂岩・頁岩と安山岩質ハイアロクラスタイト(図幅での地層名:室蘭層電信浜安山岩質集塊岩)と考えられる。測量山は三角の尾根をしているが,標高150mより上方には貫入岩である玄武岩質安山岩が分布しているためである。Mランドへ行く道の途中で,これらの地層を間近に見ることができる。
なお,「Mランド」の “ M ” は室蘭という意味のようである。
所在地
室蘭市 舟見町1丁目
参考文献
小山内 熙・酒匂純俊,1953,5万分の1地質図幅「室蘭」および同説明書.北海道地下資源調査所,9-25.
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