爆裂火口跡の円い湖
登別の秘境 橘湖
登別市オロフレ山(1230.7m)から南東に伸びる尾根に加車山(897.5m),さらにその南に東西にやや伸びた円い湖「橘湖」がある.周囲は約1.5km,水面標高は約380mで,湖面は緑色帯びた青色.さらにその周囲はすり鉢状の斜面に囲まれており,流入・流出河川を持たない閉塞湖である.
湖岸にのみ斜方輝石単斜輝石安山岩の溶岩が分布することから,この地形は,今も湯気をもうもうとあげる登別温泉の日和山や大湯沼などができたのと同じ頃に形成された爆裂火口の跡とされている.なお明治〜大正期頃まで南側湖岸には噴気活動が認められていたらしい.また閉塞湖である橘湖は,地下水収支の研究や雨水のみが貯まっていることから酸性雨の調査が行われたこともある.
橘湖へは,遊歩道(イメージは登山道に近い)が整備されており,比較的平易な道である.なお湖を一周することもできる.カルルス温泉の入口からの所用時間は約20分,登別温泉の日和山付近からも,距離は長いが所用時間40分程度の遊歩道が整備されている.
既存の指定など
支笏洞爺国立公園
所在地
登別市 カルルス・登別
参考文献
山崎 哲良(1985)北海道西部,クッタラ火山の地質.地球科学,39,416-428.
斉藤 昌之・小山内 熙・酒匂 純俊(1953)5万分の1地質図幅「登別温泉(札幌-61)」および同説明書.北海道立地下資源調査所,84p.
阿賀 裕英(2007)酸性化モニタリングのための湖沼調査.北海道環境科学研究センター所報 no.33,51-57.
知北 和久・百木 慶郎・出川 保彦(1988)火口湖の水収支とその地下流特性−北海道 橘湖−.北大地球物理学研報,51,1-13.
田中阿歌麿(1992)趣味の湖沼学.実業之日本社,735p.
関連するジオサイト