神仙沼を作った山体崩壊
チセヌプリ北斜面の岩屑なだれ
チセヌプリの北斜面は,スプーンで浅く削られたような地形を示している.これは山体崩壊の崩壊源で,崩壊発生斜面の平均勾配は23度である.山体崩壊で発生した岩屑なだれ堆積物は,標高840mから750m付近まで舌状に平坦地を形成し,少なくとも道々洞爺湖岩内線付近まで達している.この堆積物の中に神仙沼などの湿地が分布している.等価摩擦係数は0.15である.岩屑なだれの西の側部は長沼,東の側部は大谷地で洞爺湖岩内線がコの字を呈しているのは岩屑なだれ堆積物を迂回しているためである.大谷地の駐車場の北側の道路切土で岩屑なだれ堆積物を見ることができる.また,神仙沼駐車場の北にある展望台も流れ山の一部である.
等価間査察係数というのは,地すべりなどの斜面崩壊の滑落崖最上端から移動土塊の先端までの水平距離(L)と高度差(H)の比(=H/L)である.流動的なものほど値が小さくなり,日本の土石流では0.1〜0.2の値を取ることが多い.
既存の指定など
ニセコ積丹小樽海岸国定公園
所在地
共和町 前田
参考文献
宮坂省吾・田中 実・岡 孝雄・岡村 聡・中川充編著(2011)札幌の自然を歩く【第3版】道央地域の地質案内.北大出版会,146ー152.
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