酸性変質帯中にそびえる珪化岩塔
金鉱化作用を伴う小樽赤岩
下赤岩山(東赤岩山:標高279m)周辺は酸性変質帯中に珪化した岩が塔のようにそびえて,独特の景観を形成している.酸性変質帯は北東−南西方向に延びていて,幅約450m,長さ約700mの規模である.下赤岩山付近の北斜面では海岸から山頂まで約280mの高さがあり,酸性変質帯は,さらに下部・中部・上部の三つの変質帯に分けられる.下部変質帯では,変質安山岩ー粘土化岩ー珪化岩という帯状配列が認められる.中部変質帯は原岩が火山砕屑岩と推定されていて,変質鉱物はディッカイト、アルナイト、パイロフィライトなどである.上部変質帯は珪化岩が卓越している.上部変質帯の珪化岩中では金含有量が最大3ppmを示す.
変質を受ける前の原岩は,新第三紀中新世の赤岩層の暗青灰色石英安山岩,角閃石安山岩および火砕岩類である.これらの原岩や変質粘土のK-Ar年代は,いずれも約1,000万年前を示している.
既存の指定など
ニセコ積丹小樽海岸国定公園(1963年指定)
所在地
小樽市 祝津
参考文献
北海道立地下資源調査所,1997,小樽市の地質環境.小樽市.
松枝大治・由比俊三・赤松和夫,1994,西南北海道小樽市赤岩の酸性変質帯と金鉱化作用.地質ニュース,480号,44−53.