17世紀の津波堆積物を挟在する沖積層
勇払海岸の約5,000年前以降の沖積層
臨海平野を形成する沖積層は,約2万年前の最終氷期極盛期から現在に至る海水準変動の影響を受け堆積した地層である.一般に沖積層は低地下に存在することから露頭として観察出来ることは稀で,本露頭は極めて貴重と言える.1980年代には海岸線に沿って露出していた(写真1)が,現在はほとんどが砂丘砂に覆われてしまい観察出来るのは一部である.下位から淡水成のシルト,泥炭,有珠火山灰b層(1663年降灰),樽前火山灰b層,砂丘砂で,泥炭中に樽前火山灰c2層と白頭山-苫小牧火山灰が挟在する(写真2).最下位のシルトは海面低下により汽水域が淡水域に変化した後の堆積物で,泥炭の形成開始は約4,000年前である(嵯峨山ほか,2008).17世紀の津波堆積物は厚さ1㎝程度で,有珠火山灰b層直下に存在する.本堆積物は鵡川市街から安平川河口まで確認されており,海岸線に平行に約1㎞幅で細長く分布する(高清水ほか,2007).
所在地
苫小牧市 弁天の海岸
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参考文献
嵯峨山 積・荒川忠宏・亀山聖二・佐々木宏志,2008,北海道勇払低地の沖積層(最上部更新統~完新統)の層序と古環境.地球科学,vol. 62,387-401.
高清水康博・嵯峨山 積・仁科健二・岡 孝雄・中村有吾・西村裕一,2007,北海道胆振海岸東部から確認された17世紀の津波堆積物.第四紀研究,vol. 46,119-130.
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