内湾性堆積物・河川堆積物・湿地堆積物そして火山砕屑物
馬追丘陵の最終間氷期堆積物
露頭は,馬追丘陵の南端部に位置する切土跡地である.最終間氷期前後の地層である早来層・厚真層・本郷層と多数のテフラが観察できる.
早来層は生物擾乱の粘土を主とし,カキ化石を含む.上部は細砂との互層で,波状層理と生痕化石が発達する.最上部は,トラフ型斜交葉理と植物根化石を伴う砂・礫からなる.上方粗粒化し,内湾→干潟→河川の堆積環境を示すと考えられる.また,未同定テフラを挟在し,輝石と軽石粒を多含する粗粒火山灰からなる.
厚真層は,トラフ型斜交葉理の発達した淘汰良好な砂層からなる.上部外浜堆積物と考えられる.
本郷層は下位から礫・砂泥互層・粘土・泥炭からなる.礫層は亜角礫を主とし,トラフ型斜交葉理が発達する.砂泥互層には逆級化構造と根化石が見られる.礫質河川→蛇行河川→湿地の堆積環境を示すと考えられる.泥炭の上位にToya火山灰を伴う.
本露頭の上方の切土跡地では,Toya火山灰の上位にクッタラ降下火山灰, 支笏降下軽石堆積物層,恵庭降下火山灰,樽前降下火山灰, 有珠火山灰などが堆積している.最上部のTa-d〜Ta-cの間から縄文時代中期の土器・石器が見出され,「上野1遺跡」として登録されている.
既存の指定など
上野1遺跡(厚真町)
所在地
厚真町 上野96-1
参考文献
井島ほか (2010) 北海道野幌丘陵東翼部における中の更新世テフラの特性.第117年日本地質学会学術大会,ポスター発表.
馬追団体研究会(1983)北海道中央部馬追丘陵南東の中・上部更新統ー2つの海進について.地球科学,37巻,1号,8−21.
大津ほか (2002) 北海道活断層図No.4「当別断層および南方延長部」活断層図とその解説.北海道,107p.
最終間氷期勉強会(2010)2010巡検資料.