日高発電所の白亜紀凝灰岩層
日高青少年自然の家から沙流川に沿って入る道の先に北電日高発電所がある.この場所の沙流川は,両側が岩石で囲まれたゴルジュ状になって激しく流れ下っている(写真1).
この岩石は,蝦夷層群の中部層準を特徴づける珪長質凝灰岩で非常に硬く,沙流川の浸食に耐えて残ったものである.時代は中生代白亜紀アルビアン(約1億年前)である(高橋・鈴木,1986).
残念ながら露頭に近づけないので詳細な岩相は分からないが,厚層理の珪長質凝灰岩と少量の泥岩の互層である(写真2).
従来,蝦夷層群中の凝灰岩層は,西方大陸地域で活動した陸上火山から放出された降下火山灰と考えられてきたが,中部層準の凝灰岩は厚層で粗粒なものを含み,少なくともその一部は水中火砕流として堆積したものであることが分かってきている.蝦夷前弧海盆縁辺部の島弧火山活動を示すものとして興味深い.
所在地
日高町 松園東方
参考文献
高橋功二・鈴木 守,1986,5万分の1地質図幅『日高』.北海道立地下資源調査所,44p.