美々の御前水
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火砕流台地の恵みの水

美々の御前水

御前水の中に立っている碑(左)と,苫小牧市教育委員会設置の由緒を説明する看板(右)【写真: 川村信人】
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御前水の湧き出し口.写真では分かりにくいが,水面にさざなみが立つほどの湧出量がある.表層土壌の下から湧き出しており,軽石片が散乱していることに注意.【写真: 川村信人】
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御前水にもっとも近い支笏テフラの露頭(ガソリンスタンド裏).露頭の真ん中少し上から下は支笏軽石流堆積物で,この露頭では見えないが,その下に支笏降下軽石堆積物がある(「御前水のテフラ」参照)御前水の湧き水の位置の高さは,軽石流堆積物の下になる.【写真: 川村信人】
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【写真: 】
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ウトナイ湖へ流れる美々川の流域にはたくさんの湧水があります.そのひとつが美々の御前水です(写真1).御前水の名は明治天皇が行幸の際に休息されたというのがその由来です.御前水が湧き出している地層は,近くの露頭(写真3)でも見られる支笏軽石流堆積物の下に存在する支笏降下軽石堆積物のもっとも上の部分のようです.支笏湖から石狩‐苫小牧低地を埋めるように広い範囲に分布する支笏カルデラ由来のテフラは,広大な火砕流台地をつくるとともにその一部は巨大な地下水の帯水層を形作っています.

この地域の地下水に詳しい池田光良さんのお話によれば,支笏降下軽石堆積物の最上部は,支笏テフラのなかでも,もっとも水を通しやすい地層で,なんと美々川の水の8割はこの堆積物から湧く地下水に由来しているそうです.降下軽石堆積物の下部の地層は水通しが悪いため,上部の地層が地表に現れると,そこを流れる地下水は湧き出すことになります.支笏テフラの地下水は千歳市や苫小牧市などの工場や農場などでも利用されています

【執筆者:田近 淳・川村信人】

所在地

苫小牧市 美沢

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御前水

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参考文献

池田光良・三浦均也・繰上広志,1999,地下水温による北海道美々川周辺地下水流動解析.応用地質,40(2)、70-85.

 

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