浅海と深海の混合物
石灰岩・チャート互層と美里洞窟
北見市仁頃町美里のルクシ毛当別川に沿った林道を看板どおりに進むと美里洞窟がある.林道から遊歩道を進むと人が入れるほどの穴の開いた白色〜灰色の岩盤が露出する.これが美里洞窟(鍾乳洞)である.この鍾乳洞の遺跡としての意義については別に述べることにする.
この石灰岩鍾乳洞は,赤褐灰色のチャートのレンズおよび層を多数挟在する石灰岩である.石灰岩部は白色の粗粒砂〜シルト径の粒子からできており,頻繁にラミナも観察される.一方,チャートは粒子を識別することが困難なほど細粒な粒子で構成されている.このような産状は,微細な珪質物質が堆積する静穏な深海に,石灰岩粒子を主体とするタービダイト流が供給・堆積したことを示唆すると考えられる.レンズ状のチャートは重力流により巻き上げられたブロック,もしくは急激な石灰岩の堆積による不等圧密による側方尖滅で形成されたものであろう.このような石灰岩チャート互層は,福井県越前町白浜地区に分布する美濃帯にも知られている(服部,2008).
所在地
北見市 仁頃区美里
リンク
参考文献
道東の自然史研究会 編(1999)道東の自然を歩く.北海道大学図書刊行会,268p.
北海道開発庁(1968)5万分の1地質図幅「端野(網走-36)」および同説明書.49p.
服部 勇(2008)チャート・珪質堆積物−その堆積作用と続成過程−.近未来社,269p.
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