新第三紀冷水性石灰岩がつくる石灰岩地形
中頓別鍾乳洞とその周辺
中頓別鍾乳洞は新第三紀中新世のフジツボの殻化石が堆積してできた石灰岩中に形成した珍しい鍾乳洞です.国内の多くの鍾乳洞は古生代や中生代の礁性石灰岩にできたものですが,この石灰岩はホタテの仲間の泳ぐ新生代の比較的寒い海でできた石灰岩なのです.
規模は小さいですがここでは変化に富んだ石灰岩地形がみられるのが特徴です.地表近くの石灰岩を溶かしてできた窪地(ドリーネ)が見られます.そこからしみ込んだ水がつくった穴が鍾乳洞です.第一洞は地下の川の跡で,蛇行やノッチなど流れる地下水が作った様々な模様がみられます.洞穴の上層には,鍾乳石も形成されています.第三洞と第四洞はもともと連続した穴だったようですが,間が陥没して入口になりました.尾根の上には浸食され残った石灰岩がメサを作っています.これが軍艦岩や夫婦岩です.自然ふれあい公園になっています.
既存の指定など
北海道天然記念物
所在地
中頓別町 弥生
リンク
参考文献
髙清水康博,2009,冷水性炭酸塩堆積物を含む新生代中頓別層の形成過程:北海道天然記念物中頓別鍾乳洞とその周辺地域の地質から.北海道立地質研究所報告,no.80,印刷中.
田近 淳,1989,中頓別鍾乳洞―第一洞の洞内形態,地下資源調査所報告,no.65,35-45.
道北地方地学懇話会 編,1995,中頓別鍾乳洞,道北の自然を歩く.北大図書刊行会,106-107.
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