薄別川河岸に露出する砂岩泥岩互層
札幌市最古の地層~薄別層~
北海道最古の化石を産する地層は,渡島帯西部地域に分布する石炭紀の地層である.札幌の西方山地は渡島帯の東縁部に位置しており,定山渓の奥にその一部である薄別層が新第三系の下位に露出している.これが札幌でもっとも古い地層である.
この薄別層は砂岩・泥岩からなるタービダイト互層で,薄別橋付近では東に傾斜している.タービダイトの級化構造から東上位と判断される.岡(2007)によれば,この砂岩泥岩互層は背斜軸を持っていて下流では中新世の帯緑色火砕岩層が傾斜不整合で載っている.
渡島帯はおもに中生代ジュラ紀に形成された付加体であるが,その東縁部の形成時代は白亜紀にかかると考えられている(川村ほか,2000).この地層には黄鉄鉱が鉱染しており微化石等で正確な形成年代を出すのは難しいと考えられるが,ジュラ紀〜白亜紀初期(約1億5千万年前)の海溝付近で堆積したタービダイトと考えられる.
所在地
札幌市 南区薄別
参考文献
岡 孝雄,高清水康博,垣原康之(2007)IIサッポロカイギュウ化石を取り巻く地質(豊平川上流域,月寒丘陵南部).札幌大型動物化石総合調査報告書〜サッポロカイギュウとその時代の解明〜,8-39.札幌市博物館活動センター編集,札幌市.
加藤 誠ほか編集(1990)日本の地質1 北海道地方,10p.共立出版.
川村信人・安田直樹・渡辺暉夫・Mark Fanning・寺田 剛(2000)渡島帯ジュラ紀石英長石質砂岩の組成と供給地質体.地質学論集,No.57,63-72.
土居繁雄(1953)5万分の1地質図幅「定山渓」および説明書,7-9.北海道開発庁.