男山自然公園の下
比布,突哨山の石灰岩
カタクリやエゾエンゴサクの群生で有名な男山自然公園は,地図で見ると,旭川の北方山地から南に垂れ下がったような丘陵の先端部にあり,そのすぐ南を石狩川が流れている.丘陵の最高地点が突哨山(とっしょうざん)である.このような地形は,残丘と考えられ,周囲と比べて風化侵食に対する抵抗性が高い岩石が分布することを示唆している.
残丘の南側に回りこむと,その岩石の正体が分かる.石灰岩である(写真1).猪郷ほか(1974)は,この石灰岩から三畳紀のコノドント化石を発見している.その後 Ishizuka et al. (1984) は,石灰岩体周囲の緑色泥岩から白亜紀古世の放散虫化石を報告した.したがってこの石灰岩は,空知-エゾ帯の白亜紀付加体中の異地性岩塊と考えられる.露頭の下部には,石灰岩だけではなく,風化した緑色岩の転石が多数落ちており,付加体中の海洋性岩石であることを示している.石灰岩は灰色で,一般に塊状無構造であるが,一部には石灰岩礫岩の産状を示すものもある(写真2).
所在地
比布町 突哨山
参考文献
Ishizuka, H., Okamura, M. and Saito, Y., 1984, Early Early Cretaceous radiolarians from the Sorachi Group at the Pippu area (central Hokkaido, Japan). Jour.Geol.Soc.Japan, 90, 56-60.
猪郷久義・小池敏夫・猪郷久治・木下 勤, 1974, 北海道空知層群から三畳紀コノドントの産出.地質雑,80, 135-136.
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