リップルマークや生痕も
比布地域の蝦夷層群のタービダイト互層
カタクリの群生地で有名な旭川市突哨山の東のふもとに,採石場がある(写真1).この採石場には,砂岩泥岩からなるタービダイト層が露出しており(写真2),少量の珪長質凝灰岩層を挟んでいる.
従来の地質図幅などでは,この採石場とその周辺の地層は“日高累層群”あるいは白亜紀付加体とされているが,Kato and Iwata (1989) は白亜紀前弧海盆堆積体の蝦夷層群とした.露出する砂泥互層は非変形・非変成であり,生痕化石(写真3)やリップルマークも観察される.
この露頭付近からは時代を示す化石は発見されておらず,露出が孤立していて上下の層序関係も不明なため,蝦夷層群のどの部分に対比されるかは明らかではない.ただし,北方の鷹栖地域や石狩川を隔てた当麻地域の蝦夷層群相当層からは,白亜紀新世前期の化石が発見されている(加藤ほか,1986など).比布地域の蝦夷層群相当層も,その岩相の類似性から,蝦夷層群中部にあたると考えられる.
所在地
比布町 突硝山北東方
リンク
参考文献
加藤幸弘・岩田圭示・魚住 悟・中村耕二, 1986, 北海道中央部,当麻-開明地域に分布する先第三系の再検討.地質雑,92, 239-242.
Kato, Y. and Iwata, K., 1989, Radiolarian biostratigraphic study of the Pre-Tertiary System around the Kamikawa Basin, central Hokkaido, Japan. Jour. Fac. Sci., Hokkaido Univ., ser.4, 22, 4252-452.