白亜紀末,大量絶滅の謎を秘める
川流布の白亜紀-古第三紀(K-P)境界
恐竜をはじめとした白亜紀末の大量絶滅は,メキシコ・ユカタン半島付近に巨大隕石(小惑星)が衝突したためと考えられている.世界各地の白亜紀-古第三紀(K-P)境界から特徴的な黒色粘土層が見いだされており,小惑星衝突を証拠づけるものとされている.
浦幌町川流布(かわるっぷ)川支流に露出する根室層群から発見された黒色粘土層からは,国内で唯一イリジウム異常が検出されており,浮遊性有孔虫化石の研究から,K-P境界層と認定されている(Kaiho and Saito,1986;斎藤・海保,1986).
本K-P境界露頭は,根室層群活平(かつひら)層中にあり(写真1),この露頭から剥ぎ取られた標本が足寄動物化石博物館に展示されている.
境界粘土は黒色で厚さ5~10 cm程度,おそらく構造変形のため膨縮している(写真2).粘土層の周囲は灰色のシルト層で,K-P境界の上下で特に岩相の変化は認められない.
この場所には案内看板が設置され,簡易駐車場も整備されているが,立ち入りには森林管理署の許可が必要である.
所在地
浦幌町 川流布川支流茂川流布沢
参考文献
北海道開発庁(1959)5万分の1地質図幅「本別(釧路-32)」および同説明書.83p.
Kaiho, K. and Saito, T., 1986, Terminal Cretaceous sedimentary sequence recognized in the Northernmost Japan based on planktonic foraminiferal evidence. Proc. Japan Acad., Ser.B, 62, 145-148.
齋藤常正・海保邦夫,1986,白亜紀-第三紀(C-T)境界と恐竜の絶滅.月刊地球,8,192-202.