縄文時代の豊かな自然の証拠
函館市大船遺跡埋蔵文化財展示館
函館市(旧 南茅部町)は多数の縄文遺跡で知られている.その中でも大規模集落とされるのが「大船C遺跡」です.大船川左岸の段丘面で実施された平成8年度の調査では,3,500平方mの範囲に92軒の竪穴住居と盛土遺構が確認され,約20万点もの遺物が出土しました.土器・石器・漆器・垂飾などの他,クジラ・マグロ・シカ・クリなどの当時の生活・食料事情を示す重要な出土品が多数含まれます.さらに住居跡が西側に広がると推定されたことから,平成13年8月に71,832平方mの範囲が「国の史跡名勝天然記念物」に指定されています.
現在,現地には「函館市大船遺跡埋蔵文化財展示館」にて函館市南茅部地区の遺物が展示され,遺跡の意義などが紹介されています.ここには,著保内野遺跡から出土した,国宝「中空土偶(複製)」も展示されています.圧巻は縄文早期から晩期に至るまでの数多くの土器の展示です.形態・表面装飾・焼き技術の高度化による土器厚の変化などを実感することができるかと思います.
現在,函館市をはじめとして,縄文遺跡が確認されている噴火湾沿岸および北東北の市町村で「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」として世界文化遺産への登録を目指しています.
既存の指定など
国 史跡名勝天然記念物
所在地
函館市 大船(旧 南茅部町)
リンク
参考文献
函館市教育委員会(2010)縄文−Jomon−(紹介パンフレット).函館市,4p.
北海道開発庁(1969)5万分の1地質図幅「東海(札幌-81)」および同説明書.33p.
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