奥尻島南西部の藻内川流域に藻内火山岩類が分布する．その主要な構成地質が，藻内溶結凝灰岩である．岩質は，暗灰色の緻密な流紋岩質溶結凝灰岩でガラス質の黒色基質中に斜長石や石英の斑晶が認められる．一見するとガラス質安山岩のように見える．図幅によれば，藻内溶結凝灰岩には異質岩片を多く含む部分があるほか，シルト岩や細粒凝灰岩が挟在している．藻内溶結凝灰岩のフィッショントラック年代は約1億3百万年前で，奥尻島の花こう閃緑岩の約1億2百万年前から9千6百万年前というK-Ar年代に近い．これらが一連の火成活動である可能性が指摘されている．

【執筆者：石井 正之・嶋岡 博】

所在地

奥尻町 藻内

参考文献

鴈沢好博（1987）東北日本弧内帯の白亜紀−第三紀火山岩のfisション･トラック年代−奥尻島･男鹿半島･朝日山地．地質雑，第93巻，第6号，387−401．

秦 光男･瀬川秀良･矢島淳吉（1982）地域地質研究報告　5万分の1図幅「奥尻島北部および南部地域の地質」．地質調査所，14-17．