石狩湾に面して広がる二つの段丘
望来の海成段丘
札幌から国道231号(オロロンライン)を北上し,石狩河口橋を渡ってしばらく行くと平地から丘陵地に登っていく。この丘陵地に約12.5万年前(嶺泊面:mT5e)と約21.4万年前(聚富面:mT7)の海成段丘が広く発達している。この付近では,基盤岩は鮮新世当別層の泥岩である。
嶺泊面は知津狩川から望来の集落まで海岸にへばり付くようにして分布し,さらに中期〜後期中新世の火山岩類が出現する厚田集落の北まで分布している。標高は20〜30mで内陸側には旧汀線が認められるとされている。段丘堆積物の厚さは約2m,赤茶色の礫混じり砂・粘土から構成されている。
国道東側にある石狩霊園を過ぎてカーブする付近からは標高60m〜70mとなり,国道を中心に聚富面が広がっている。谷が刻まれているが,国道からは平原のように見える。
なお,材木川上流の尾根には,約32.8 万年前の海成段丘(mT9)がある。
所在地
石狩市 厚田区聚富
参考文献
小池一之・町田 洋編,2001,日本の海成段丘アトラス.東京大学出版会.
地学団体研究会札幌支部,1984,地質案内 札幌に自然を歩く.北海道大学図書刊行会,116−123.
地質調査所(1958)5万分の1地質図幅「石狩(札幌-12)」および同説明書.53p.