「要注意」の活断層:石狩低地東縁断層帯
泉郷断層の低断層崖
泉郷断層は千歳市泉郷から道東道のコムカラ峠にむかって伸びる逆断層で,千歳市泉郷付近では西側が隆起し,東側がおちた断層崖がみられます.泉郷のお寺(極楽寺)のあたりから西側の石狩低地の方を眺めると,広い畑に手前(東側)が落ちた高さ5 mぐらいの崖(斜面)が見えます(写真1).ただし現在はビニールハウスや住宅が建っており,やや見えにくくなっています.これが,泉郷断層の断層崖です.石狩低地東縁断層帯は美唄付近から早来にいたる南北約66 kmの活断層で,国の地震調査研究推進本部は,今後30年以内の地震発生確率を道内では最大の値である最大6 %と評価しています.この断層帯の地下の地震を起こす部分(起震断層)は東側隆起の逆断層と考えられていますが,それ自体は地表に現れてはいません.岩見沢‐栗沢の丘陵や馬追丘陵の下に隠れています.わかりにくいと思いますが,地下の起震断層が東から西へつきあげるように動くと,断層の先端はクサビのように西側の岩盤を押し上げるため,押し上げられた西側の地表面には逆に西から東へ乗り上げるように動きます.馬追丘陵は,このような動きに伴って隆起したもので,段丘面の傾き(傾動)や二次的な断層(地表のズレ)が見られます.その一つが泉郷断層です.建設工事の際には道東道のコムカラ峠や道道の切り割にも断層が見えました.断層に沿って温泉も湧き出しています.
所在地
千歳市 泉郷,中央,協和
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参考文献
北海道(2001)石狩低地東縁断層帯 活断層図とその解説,北海道立地質研究所,157p.
国土地理院(2010)1:25000都市圏活断層図石狩低地東縁断層帯とその周辺「岩見沢」「長沼」「千歳」,解説書,日本地図センター,11p.
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