日本の近代化を支えた石炭資源
夕張の石炭大露頭「夕張二十四尺層」
夕張市の「石炭の歴史村」「石炭博物館」のすぐ南側にあるのが,北海道指定の天然記念物,「24尺大露頭炭」である.これは,挟炭層である古第三系始新統夕張層中の石炭層で,下位から,10尺層・8尺層・6尺層の3層からなり,あわせて24尺層 (7.2 m) とよばれている.各層の間には薄い凝灰岩層や泥岩層を挟む.地層は南東へゆるく傾斜している.この露頭は,B.S. Lymanが1876年にこの地域を初めて調査した際の日本人助手,坂市太郎によって1888年に発見された.夕張を含む石狩炭田が開発される端緒になった,歴史的にも記念すべき露頭である.
石炭は,過去の陸上植物が地層中に埋没して炭化したものである.厚さ1 mの炭層ができるためには,植物遺体が十数 mもの厚さで堆積する必要があるという計算もある.この計算からすると,24尺層の原料になった植物遺体の厚さは,優に100 mを超える.莫大な量の植物が堆積したことがわかるだろう.始新世当時の温暖な気候がもたらした可能性が考えられる.
既存の指定など
北海道指定天然記念物(1974)
日本の地質百選
所在地
夕張市 高松 石炭の歴史村
リンク
参考文献
『空知の自然を歩く』北大出版会.
佐々保雄・田中啓策・秦 光男,1964,5万分の1地質図幅および説明書『夕張』,北海道開発庁,184 p.