豊平川は扇状地をつくり札幌の街の土台を提供しただけでなく,川の水や地下水は古くから利用され,河畔は市民に憩いの場を提供してきた.アイヌの人たちが深く信仰した藻岩山(インカルシペ:いつも眺める所)とともに,札幌になくてはならない川である.
豊平川の周辺には,多くの見応えのあるジオサイトがある.豊平川に絶えることなく水を供給している札幌岳・余市岳などの古い火山群がある.定山渓から五輪大橋にかけて露出する中新世の堆積岩類は,その昔豊平川周辺がカイギュウやクジラの生活する海であったことを示している.
かつて札幌の街の建築材料として利用され,今も採掘が行われている札幌軟石がある.扇状地末端の湧水(メム)は,再生されて市民に憩いの場を提供している.さらに,豊平川上流には二つの大きなダムがあり市民に美味しい水を提供し,治水,電力供給で貢献している.また,豊羽鉱山は長年にわたり金属資源を提供してきた.
このような恵みをもたらした母なる川‐豊平川周辺のジオサイトをまとめてここに示した.