松山湿原の休憩所
美深 仁宇布の風穴
美深町仁宇布松山湿原に向かう登山道の入口をわずかに進んだ右手に「仁宇布の風穴」は,本心は見つけて欲しいのだけれども,ひっそりと隠れている.案内板が立っているが字がかすれているため,見逃してしまう人も多い.読み取れたとしても「風穴」が何かを知らなければ,「何だろう?」と足を進めてみても,足下を流れる微弱な冷気に気づかないかもしれない.
風穴周辺には安山岩の礫や倒木などが積み重なり,全体が苔・植物に覆われている.それらの隙間から冷気がほどよく流れ出している.私が訪れた日は,日差しの強い暑い日だったため,仁宇布の風穴からの冷気はことさらに気持ち良く感じた.天然のクーラーである.松山湿原の登山道からの帰りに,熱くなった体をさまして・・・とまではいかないかもしれないけれど.
「風穴」は,地下の空間に溜まっていた空気が外気との密度差で外気中へ流れだす現象,もしくはその場所のことである.この仁宇布や瀬戸瀬,丸瀬布武利の風穴のように冷気の場合が多いが,外気との密度差(すなわち温度差)で起こる空気の移流であるため,暖気の場合もある.
所在地
美深町 仁宇布
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参考文献
清水長正(2009)日本の風穴 −その利用と先駆的研究をめぐって.地理,54,32-39.
*地理(古今書院)2009年7月号に「風穴」の特集が掲載
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