内陸に取り残された縄文海進の名残の海
ウトナイ湖
ウトナイ湖は,太平洋海岸を底辺とした三角形の勇払平野の頂点に位置している.湖面の標高は約2m で,約6,000年前の縄文海進時には勇払平野は“ウトナイ湾”となっていて,太平洋岸を東から西に向かう海流の反流(時計回り)がこの湾内を流れていた.
約5,000年前頃には海退が顕著となりウトナイ湖は内陸湖沼となった.
ウトナイ湖周辺は深度15m 付近に支笏火砕流があり,それより上位は泥質堆積物と砂質堆積物で構成されている.湖周辺には泥炭層が分布し,それを覆って樽前火山噴出物などが分布している.
かっては美々川とオタルマップ川が流入していたが,現在は河川改修により勇払川も西から流れ込んでいる.また,湖からの流出河川は旧勇払川と合流して勇払川となって太平洋に注いでいる.
既存の指定など
国指定鳥獣保護区(1982年),ラムサール条約湿地(1991年)
所在地
苫小牧市 植苗
参考文献
赤松守雄(2003)北海道の自然史.124-143.北海道出版企画センター.
池田国昭・羽坂俊一・村瀬 正(1995)北海道勇払平野の完新統分布と地形発達.地質調査所月報,第46巻,第6号,283-300.
ウトナイ湖自然観察路説明版(現地)
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