溶岩ドームと火砕流でできた山:恵山火山
恵山溶岩ドーム(溶岩円頂丘)と地獄火口
現在,恵山火山で最も活動的な噴気が見られるのは恵山溶岩ドームとその北西側に開いた地獄谷(爆裂火口)です.恵山高原の駐車場から賽の河原を経て,恵山溶岩ドームの山頂に向かう道をたどると,山腹にたくさんの大きな岩があらわれてきます.岩は縞模様(流理構造)がはっきりした輝石安山岩の溶岩です.良く見ると岩の表面には引き伸ばされた気泡も見えます.これらはマグマが上昇してくる際にできたもので,この模様から,逆にマグマが地表に搾り出された様子が復元できるのです.恵山溶岩ドームは元村火砕流の噴火(8000年前)頃にできたと考えられています.
地獄谷は2500年前の爆発的噴火により山体が崩壊してできた爆裂火口です.あちこちに噴気があり,噴気孔のまわりに濃黄色の硫黄の針状結晶が見られます.恵山は江戸時代から対岸の恐山とともに信仰の山であるとともに,硫黄の鉱山でもありました.1845年など硫黄の自然発火による火災も記録されています.登山道の途中には鉱山跡と見られる石積も見られます.なお,噴気は高温でガスは有毒ですので,噴気に直接触れたり吸い込んだりしないように注意しましょう.風の弱い日などは噴気やくぼ地には近づかないようにしましょう.
既存の指定など
恵山道立自然公園
所在地
函館市 椴法華区
恵山区
参考文献
北海道立地下資源調査所(1969)5万分の1地質図幅「恵山(札幌-87)」および同説明書.62p.
恵山火山防災会議協議会,2001,恵山火山防災ハンドブック.恵山町・椴法華村,18p.
北海道防災会議,1983,恵山 火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策.北海道における火山に関する研究報告書,第9編,99p.
地学団体研究会道南班,2002,地質あんない 道南の自然を歩く.北大図書刊行会,264p.
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