地震に伴う変動も
新冠とその周辺の泥火山
日高地方の新冠町節婦から新ひだか町にかけて,点々と泥火山が分布しています.その代表格が高江地区の新冠泥火山で,ここでは4つの丘が確認できます.泥火山とは,地下から水と一緒に噴出した泥が積み重なって出来た丘のことで,世界の油田地帯や海底の現世付加体などに分布しています.国内では,新潟県などでも見つかっています.
新冠泥火山の特徴は大地震に伴って噴泥や亀裂の発生などの変動が発生することです.第八丘を中心に1952・1968・2003年十勝沖,1982年浦河沖, 1994年北海道東方沖などの各地震の際に変動がありました.最近では2008年9月11日の十勝沖地震(マグニチュード7.1)でも変動が見られました.
噴泥は,地下に異常な高水圧の地層(異常高圧層)があり,地上への通路が開くなど圧力の開放が生じた時に発生するとみられています.地震の時にだけ変動を起しているのは,すでに地下の異常高圧の状態が弱まっているためではないか,と推定されています.
既存の指定など
北海道天然記念物
所在地
新冠町 高江・節婦
新ひだか町
リンク
参考文献
千木良雅弘・田中和弘(1997):北海道南部の泥火山の構造的特徴と活動履歴,地質学雑誌,103,781-791.
黒沢邦彦・乾芳宏・丸谷薫(1996):新冠泥火山に発生した亀裂及び噴泥,地下資源調査所調査研究報告,no.25,98-106.
佐々保雄(1954):新冠泥火山とその十勝沖地震による変動.十勝沖地震調査委員会(編)十勝沖地震調査報告1952年3月4日,243-259,
田近 淳・中迎 誠・石丸 聡・原口 強・中田 賢・志村一夫,2009,2003年十勝沖地震に伴う新冠泥火山の変動の記録,北海道立地質研究所報告,no.80,147-156.
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