十勝岳の噴火に備える
十勝火山砂防情報センター
十勝岳は,大正噴火(1926年),1962年噴火,1988〜89年噴火とここ100年の間にも活発な活動を繰り返してきました.とくに大正噴火では山頂付近の残雪を融かして泥流を発生させました.この泥流は美瑛川と富良野川を時速約60kmで流下し,上富良野町を中心に埋め立て、死者・行方不明者は144名を出しました。
噴火による全ての人的・物的被害を食い止めることは不可能であるため、事前の避難は欠かせません.このため十勝岳山体には、監視カメラ・地震計・ワイヤーセンサー・GPSなどの常時観測機器が設置されています。これらのデータは白金温泉の高台にある「十勝岳火山砂防情報センター」で集中管理され,気象台をはじめとする関係機関に送信されています.火山活動が活発になる徴候が見られると,専門家による機動観測などのより緻密な観測を行います.この観測活動の拠点としても同センターは活躍します。これらの観測結果を元に噴火の動向を予想し、危険と判断されれば、地元自治体と連携して住民の避難のタイミングや規模を検討します.
現在,十勝岳の活動は落ち着いた状態にあります.このような状態が続いてほしいですが,噴火は繰り返すことでしょう.噴火時には人的被害を軽減するための日頃の準備がなされています.
既存の指定など
大雪山国立公園
所在地
美瑛町 字白金
リンク
参考文献
宇井忠英(2007)過去の災害に学ぶ (第15回)1926年 十勝岳泥流災害.広報ぼうさい,no.42,20-21.
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