清水がこんこんと湧き出していたところ
知事公館敷地のメムの跡
知事公館に隣接して三岸好太郎美術館がある.その庭園とも言える場所が,かってのメムの跡である.メムというのはアイヌ語で湧泉地のことである.
明治年間には琴似川や伏籠川の水源には13箇所のメムがあったと言われている.知事公館敷地のメムは琴似川の源流の一つであった.
ここのメム跡は気軽に立ち入ることができる憩いの場であり,西側(近代美術館側)に比高3m ほどの平坦面があり東側はいくつかの流路が残されている.この流路をたどって北1条通りの方に行くと平坦面の比高は次第に小さくなり小さな腕状の地形で終わっている.
この庭園に残されている樹木は胴回り2m を越えるものもあり,夏は涼しい木陰をつくっている.樹種は、ハルニレ,ハリギリ,キタコブシ,サワグルミ,イタヤカエデ,ヤチダモ,キハダ,クリなど多種にわたる.
なお,札幌市内で現在見ることのできるメム跡は,北大植物園,北大中央ローンなどにある.
既存の指定など
知事公館前庭環境緑地保護地区
所在地
札幌市 中央区北1条〜北2条西16丁目
参考文献
右代啓視(1996)「メム」と人.札幌市教育委員会編 さっぽろ文庫77 地形と地質,49-53.
地学団体研究会札幌支部編(1984)地質案内 札幌の自然を歩く〔第2版〕,6-7.