巨大岩塊が空を飛んだ
礼文島元地の2003年岩盤崩落
2003年5月25日,礼文島元地のユースホステル桃岩荘裏の崖が崩落し約2,600立方メートルの土砂が沢を流れ下った.この土砂中の最大岩塊は660トンと推定され,先に崩壊して通路に堆積していた岩塊にぶつかり約50m 跳躍して土砂にめり込んで停止した.
この岩盤崩落の地質的素因は,下部〜中部中新統の元地層凝灰岩の上位にメシクニ層香深岩相のハイアロクラスタイトがのるキャップロック構造である.ハイアロクラスタイトには縦亀裂が発達している.
崩壊源は沢の源頭部付近にあり,崩壊面は下流側の南西向きブロック(ハイアロクラスタイト主体)がまず崩壊し,支えを失った南向きブロック(塊状変質安山岩)が挫屈して崩壊した.この時,最初の崩壊で沢を埋めていた土砂の上を流走したと巨大岩塊が,すでに堆積していた岩塊に衝突して跳躍し巨大岩塊が約50m,空を飛んだと考えられる.
既存の指定など
利尻礼文サロベツ国立公園
所在地
礼文町 元地
参考文献
石丸 聡ほか(2003)礼文島元地の2003年5月25日崩壊−660トンの巨大岩塊が50m 宙を飛ぶ−.日本地すべり学会誌,Vol.40,No.3(155),69-71.
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