網走構造線沿いに点在する基盤岩類
本別川上流 幽仙峡の基盤岩類
本別川上流にひっそりと隠れるように峡谷「幽仙峡」がある.本別公園の通りを上流に進むと「鹿よけ」のゲートに遮られるが,通行止めではなく,鍵もかかっていないので開けて進もう.ただしすぐに閉めること.忘れないように! しばらく林道を進むと,うまく説明できないが,名称のとおりの雰囲気となってくる.そして左脇に東屋が現れる.この付近が幽仙峡である.
この付近の地層は幽仙峡層とよばれ,濃緑色の砂岩,黒色泥岩,凝灰質シルト岩,礫岩などから構成される.林道脇の地層は塊状に見えるが,渓流橋から上流河床を望むと北西に緩く傾斜する層理を確認できる.なお凝灰質シルト岩からは白亜紀後期を示準する放散虫化石が含まれることから,北見地域に広く分布する佐呂間層群に属すると考えられている.さらに本別川上流には網走構造線(浦幌断層)が通っており,この構造線の東側は根室層群(活平層)が分布している.
幽仙峡には坑道(直径約80cm 奥行き約20m)跡がある.阿部某が大正初期にかけてツルハシ等の手掘りで金鉱を求めたものとされるが,着鉱することはなかった.周辺にはいくつかの厚い方解石脈が存在するものの,一般に金鉱床の探鉱対象となる石英脈は,残念ながら認められない.
所在地
本別町 東本別(本別川上流幽仙峡)
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参考文献
金松敏也ほか(1992)白糠丘陵西部地域,網走構造線西縁に分布する帰属不明の先第三系−北海道中世界,根室帯と常呂帯の構造関係についての一考察−.地質雑,98,1113-1128.
道東の自然史研究会 編(1999)道東の自然を歩く.北海道大学図書刊行会,268p.
本別町町史編さん委員会 編(1977)本別町史.本別町,970p.
北海道開発庁(1958)5万分の1地質図幅「足寄太(釧路-19)」および同説明書.66p.
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