平坦な山頂を持つ古い火山
手稲山溶岩
「手稲山夕焼け小焼けのするところ」と歌われたこの山は,藻岩山とともに札幌市民に親しまれている.
手稲山は札幌市の北西に位置し標高1023.7mの平坦な山頂を持つ.基盤岩類は中新世中期〜鮮新世前期の火砕岩類を主とする地質でその上位に手稲山火山噴出物が分布している.
手稲山火山噴出物は,下位のネオパラ山溶岩(かんらん石安山岩.ネオパラ山は標高838mで男女回転コースの上のドーム状の山)と上位の手稲山溶岩(輝石安山岩)とから構成されている.これら二つの溶岩は琴似発寒川支流の永峰沢川を挟んだ二つの尾根を形づくっている.
手稲山から積丹半島にかけて平坦な尾根を形成する溶岩は,平坦面溶岩と呼ばれている.
手稲山溶岩の形成年代は3.7Ma(Ma=100万年)で,春香山溶岩(3.8Ma)もほぼ同じ時期に噴出している.
所在地
札幌市 手稲区手稲金山
西区平和
参考文献
杉本良也(1953)5万分の1地質図幅および同説明書「銭函」.北海道開発庁.
平雄貴(2008)手稲火山と大規模地すべり〜火山層序と岩屑なだれの検討〜.北海道教育大学札幌校卒業論文発表会要旨.
宮坂省吾,山崎 茜,岡村 聡,英 弘,石井正之,小板橋重一(2007)鮮新世溶岩台地縁辺部の地すべり地形:手稲山山体崩壊と天狗岳地すべり.地質学雑,第113巻,補遺,日本地質学会第114年学術大会 見学旅行案内書,19-28.
Watanabe,Y.(1990) Pliocene to Pleistocene volcanism and related vein-type mineralization in Spporo-Iwanai district,Southwest Hokkaido,Japan.Mining Geol.Japan,40,289-298.