両側を大規模地すべりでさらわれた尾根を持つ
空沼岳
空沼岳は標高1251.0mで,更新世の安山岩からなる山である.札幌市街から見えるが,明瞭な山頂を示さないので見分けるのが難しい.
山頂付近を構成するのは空沼岳溶岩と呼ばれる暗灰色,堅硬緻密な輝石安山岩で,正方形の斜長石と輝石が特徴的である.山頂に露出しているものは北東に傾斜する板状節理が見られる箇所があるが,全体に塊状である.形成年代は約80万年前である.
空沼岳付近は山頂稜線の両側に大規模地すべりが分布し,やせ尾根となっていて山体の形が不明瞭となっている.
万計コース登山道の万計沼出口の滝を構成している岩石は,漁川層の鞍馬越変朽安山岩(変質安山岩)で,図幅によれば玄武岩質の輝石安山岩である.滝の右手の登山道脇の岩石は風化と弱い変質を受けている.
既存の指定など
支笏洞爺国立公園
所在地
札幌市 南区簾舞および定山渓
恵庭市 盤尻
参考文献
土居繁雄,小山内煕(1956)5万分の1図幅および同説明書「石山」.北海道地下資源調査所.
山岸宏光編(1993)北海道の地すべり地形 分布とその解説,264-265.北海道大学図書刊行会.
渡辺 寧(1993)岩脈・火口配列に基づく西南北海道北部の新生代後期の応力場.地質学雑誌,第99巻,第2号,105-116.