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山頂平坦面・急崖・緩斜面のコントラスト

手稲山岩屑なだれ

手稲山岩屑なだれ全景:周辺に比べて沢の発達が弱く緩斜面となっている部分が岩屑なだれ堆積物である. 【写真: 雨宮和夫】
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岩屑なだれ堆積物とその上位の堆積物:下位の亜角礫層が岩屑なだれ堆積物で,礫は手稲山溶岩である.折尺付近に火山灰質の礫質土があり,折尺の下端付近にクッタラ火山kt-2テフラ(5.2万年前)が,上端付近に支笏火山Spfa1テフラ(4万年前)がある.上位の礫質土層は最終氷期に形成された山麓緩斜面堆積物である.【写真: 石井正之】
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岩屑なだれ堆積物(1):破砕割れ目(岩屑なだれの移動中にぶつかって形成されたジグソークラック)の発達した手稲山溶岩.節理から分離しブロック状になっている. 【写真: 石井正之】
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岩屑なだれ堆積物(2):テイネスキー場へ向かう道路の軽川を横断する手稲橋左岸に見られる岩屑なだれ堆積物で,西野層相当層の火山角礫岩である.【写真: 石井正之】
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手稲山は札幌から見ると平坦な山頂とその前面の急崖が印象的である.急崖の下部は緩斜面が連続している.これらは最大幅2km,奥行き6.5km,頭部崖の落差約400mという大規模岩屑なだれで形成された地形で,末端はJR手稲駅付近まで達している.

この大規模地すべりは平坦面溶岩とこの溶岩形成時の熱水変質作用により溶岩下盤の地質が劣化したことが素因となっている.

この地すべりの形成時期は岩屑なだれ堆積物を覆ってクッタラ火山Kt-2テフラや支笏火山Spfa1テフラが見られることから5万年前より古いと推定される.

なお,岩屑なだれというのは,火山体の不安定な部分が表層なだれのように高速で崩れ落ちる現象を言い,大きな岩塊が水の関与なしで移動するのが特徴である.

【執筆者:石井正之】

所在地

札幌市 手稲区手稲金山

参考文献

雨宮和夫(2006)手稲山岩屑なだれの地形について.平成18年度(社) 日本地すべり学会北海道支部・北海道地すべり学会研究発表予稿集,51-56.
杉本良也(1953)5万分の1地質図幅および同説明書「銭函」.北海道開発庁.
宮坂省吾,山崎 茜,岡村 聡,英 弘,石井正之,小板橋重一(2007)鮮新世溶岩台地縁辺の地すべり地形:手稲山山体崩壊と天狗岳地すべり.日本地質学会第114年学術大会 見学旅行案内書,19-28.