西南北海道の深成岩類
せたな町,太田神社付近の花崗岩
西南北海道には,ジュラ紀付加体を貫く花崗岩質岩体が分布するが,せたな~今金地域にはいくつかの大規模な岩体がある.せたな町久遠から太魯にかけて分布する久遠岩体はその一つである(土谷・西川,1990).
太田神社の拝殿(写真1)は,この久遠岩体の上に建立されている.久遠岩体は主に粗粒な花崗閃緑岩からなり(写真2),114 Ma(中生代白亜紀古世)という黒雲母K-Ar年代が報告されている(河野・植田,1966).
写真1の拝殿の背後に見えている急斜面の上に,難所として有名な『太田山大権現』がある.これらの由来の説明板を読むと,松浦武四郎・円空上人・菅江真澄など歴史上有名な人物がここを訪れていることが分かる.
この付近はまた,北海道で海岸沿いに道路が開通していない数少ない区間の一つでもある(近く太田~鵜泊間の道道が開通予定).帆越岬付近は,帆越トンネル開通以前は,海岸の花崗閃緑岩の露岩の上を道路が通っているような秘境的雰囲気の場所だった.その雰囲気は,帆越トンネル付近の旧道に現在でも見ることが出来る(写真3).
所在地
せたな町 大成区太田
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参考文献
土谷信高・西川純一,1990,白亜紀の深成岩類.日本の地質『北海道地方』,10-12,共立出版.
河野義礼・植田良夫,1966,本邦火成岩の K-Ar dating (4)-東北日本花崗岩類-.岩鉱,56, 41-55.