海洋性岩石と陸源砕屑岩との混じりあい
日高幌別川でみるイドンナップ帯の混在相
イドンナップ帯は,北海道中央部の弱変成白亜紀付加体である.この露頭では,イドンナップ帯ナイ沢コンプレックスの混在相をよく観察することができる.なお,露頭は幌別川の水位によっては中州になっている場合がある.秋口には,遡上する鮭の大群を見ることができる.
本露頭は緑色岩・緑色~赤色チャート・砂岩・黒色泥岩および少量の石灰岩・緑色頁岩から構成される.赤色チャートからジュラ紀末~前期白亜紀の放散虫が産している(Ueda et al., 2001).緑色岩は細粒なアルカリドレライトである. 各岩相は層理面に準平行な断層と高角な断層によって複雑に分断され,強い剪断劈開を示す.砂泥質岩は一般に互層が破断している.これらは,構造性メランジュの特徴を示す.
緑色岩とチャートは『海洋性岩石』であり,砂岩・泥岩は『陸源砕屑岩』である.これら“本来の生成場では互いに共存し得ない”2種類の岩石が混在しているのが,付加体の大きな特徴になっている.
所在地
浦河町 幌別川下流部
参考文献
Ueda, H., Kawamura, M. and Iwata, K. (2001) Tectonic evolution of Cretaceous accretionary complex in the Idonnappu Zone, Urakawa area, central Hokkaido, Northern Japan: with reference to radiolarian ages and thermal structure. Jour. Geol. Soc. Japan, 107, 81-98.