石英粒子に富む厚い砂岩
尻岸馬内林道の“下部蝦夷層群”厚層理タービダイト
北海道中軸部の白亜系蝦夷層群の下部層準は,石英粒子に富む粗粒・厚層の砂質タービダイト互層が特徴的である.この部分は古くから“下部蝦夷層群”と呼ばれてきたが,この名称は層序区分名としてあまり適切ではないので,現在は使われないようになってきた.夕張-芦別-富良野地域の“下部蝦夷層群”に相当する部分は,シューパロ川層と再定義されている(Takashima et al., 2004).シューパロ川層の砂質タービダイト互層に富んだ部分は『礼振峰(レフレップ)砂岩部層』と呼ばれる.
礼振峰砂岩部層の典型的な露出としては,伝統的に富良野市奈江川が有名であるが,狭くて暗い沢の中の露頭は苔に覆われている部分が多い.
奈江川の南方にあたる尻岸馬内林道沿いには,このタービダイト互層の良好な露出があり(写真1),観察に適している.ほぼ完全に癒着した,泥岩をほとんど挟まないタービダイト砂岩互層である(写真2).この互層中には,保存の悪いリップルマークなどが見られることがある(写真3).
所在地
富良野市 尻岸馬内川
芦別市 尻岸馬内川
参考文献
橋本 亘,1955,5万分の1地質図幅『下富良野』および同説明書,北海道開発庁,71 p.
Takashima, R., Kawabe, F., Nishi, H., Moriya, K., Wani, R. and Ando, H., 2004, Geology and stratigraphy of forearc basin sediments in Hokkaido, Japan: Cretaceous environmental events on the Northwest Pacific margin. Cretaceous Research, 25, 365-390.