貝化石の採れる海食崖
望来海岸の新第三紀化石群
国道231号を増毛に向かい石狩霊園を過ぎたところで左に曲がって海岸沿いの道路に出る.この道路を聚富(しっぷ)海水浴場までまっすぐ行くと望来海岸である.ほとんど植生のない崖が遠くに見える.中新世中期~後期の望来層で,暗灰色の硬質泥岩と軟質シルト岩の互層である.ところどころに,こぶし大から直径3m ほどのノジュールが挟在している.
ここでは貝化石を比較的容易に見つけることができる.オウナガイ,ワタゾコウリガイ,トクナガキヌタレガイ,サザナミソデガイなどの二枚貝や巻き貝のエゾボラなどである.多くが両殻が付いたままで採れ,これらの貝が住んでいた場所からあまり遠くない場所で堆積したことを示している.
これらの貝化石の中で,ワタゾコウリガイ(Calyptogena pacifica)はシロウリガイ属化石でメタンなどを含む海底からの冷湧水の周辺に群集をつくって生息していたものと考えられる.
雪解け時期や雨の後は思わぬ落石があるので十分に注意する.
所在地
石狩市 厚田区望来
参考文献
地学団体研究会札幌支部辺(1984)札幌の自然を歩く 地質あんない.116-123.北海道大学図書刊行会.
石村豊穂,井尻 暁,阿部恒平,角皆 潤(2005)北海道,中新統望来層におけるシロウリガイ属化石を伴う石灰質段階の特徴.地質雑,第111巻,第3号,VII-VIII.
加藤誠ほか編(1990)日本の地質1 北海道地方.97-98.共立出版.