手稲石〜藍青色のテルル含有鉱物〜
旧 手稲鉱山
札幌市手稲区星置川右岸にある手稲鉱山は,おもに金・銀・銅を稼行対象としていました.明治中頃には,星置川で砂金が採れていたようです.明治26年(1893年)から探鉱が進められました.昭和初期には多数の鉱脈が発見され,全国有数の産金量を誇ったこともあります.戦後は急速に縮小し,細々と採鉱を続けていましたが1971年に閉山しました.なお現在,跡地は企業に管理されており,立ち入るためには許可が必要です.
鉱床の母岩は中新世の火山岩からなり,鉱床の形成は約400万年前頃とされています.手稲鉱山からは多種の鉱物が報告されていますが,とくに,レアメタルのテルル(Te:原子番号52)を産出した鉱山として有名です.表題の「手稲石(CuTeO3•2H2O)」の他,「自然テルル(Te)」,「テルル石(TeO)」などが報告されています.テルルはガラスなどの着色剤や合金への添加剤,光ディスクの記録面薄膜などに利用されます.またビスマスとの合金は熱電変換素子として利用されます.
所在地
札幌市 手稲区星置
リンク
参考文献
沢井ほか(1991)千歳・轟・手稲鉱山の変質岩のセリサイト・カリ長石のK-Ar年代(演旨).鉱山地質,41,182-183.