湧別川がつくったインカルシ(見張りをするところ)
遠軽、瞰望岩
湧別川が生田原川と合流するあたり,川沿いの谷底平野が大きく開けるあたりに,「遠軽」の語源となったインカルシ=瞰望岩があります.高さ約80mの断崖の上からは先住民族の戦いの伝説の地にふさわしい展望が開けます.
瞰望岩は新生代新第三紀中新世後期(およそ700万年前)の海底火山に堆積した安山岩質の水中溶岩(ハイアロクラスタイト)と火山性の砂岩礫岩からなっています.遠軽はそのころ海底火山の近くだったのですね.瞰望岩の岩盤は固く,岩肌を良く見ると瞰望岩は灰色の安山岩の大きな角礫からなる部分とそれより細かな礫からなる部分が縞状になっています.ところが,瞰望岩の背後の太陽の丘は瞰望岩とは違う白く軟らかい軽石質凝灰岩(軽石・火山灰が固まったもの)からなっているのです.
湧別川が岩盤を削りながら,川沿いの平野をつくるとき,凝灰岩や他の泥岩砂岩は容易に削ることができましたが,溶岩や火山性の砂岩礫岩は硬くて,削り残しができてしまいました.これが瞰望岩として残ったのです.
瞰望岩はその名のとおり,遠軽地方のランドマークになっています.
既存の指定など
北海道自然百選
北海道の景観資源
所在地
遠軽町
リンク
参考文献
北海道立地下資源調査所(1991)5万分の1地質図幅「遠軽(網走-24)」および同説明書.104p.
道北地方地学懇話会編,1995,地質あんない 道北の自然を歩く.北大図書刊行会,269p.