「こわれた地層」
北見滝上渓谷(錦仙峡)の砂泥混在岩
黒々とした岩肌が渓谷美を引き立たせる,北見滝上峡谷は不思議な岩盤からできています.中央橋から見下ろすと,黒っぽい泥岩の中に白っぽい砂岩が不規則に混じって見えます.近くでよく見ると砂と泥が混じったり,砂岩がレンズや欠片のようにちぎれたりしている様子が観察できます.これは,海底に堆積した砂や泥がまだ柔らかい状態のときに変形してできた岩石で,砂泥混在岩とか「こわれた地層」呼ばれているものです.この様な地層は,海洋プレートの沈み込む場(海溝)の周辺で,地殻の運動や地すべりなどによって圧縮されたり引き伸ばされたりしてできると推定されています.
北見山地の中部,渚滑川上流や白滝~丸瀬布の湧別川,興部川上流などの河床や渓谷には,おそらく古第三紀の初めごろ(正確な時代はまだ分かっていません)に出来たとみられるこのような「こわれた地層」が広く露出しています.かつて,ここは海溝だったのでしょうか.
所在地
滝上町 栄町・元町
参考文献
北海道立地質研究所(2002)5万分の1地質図幅「滝上(網走-14)」および同説明書..37p.