「魔神の住む所」に残された足跡は・・
神居古潭峡谷の変成岩と甌穴群
神居古潭はアイヌ語で「魔神の住む所」を意味する.旭川盆地を流れる全ての川が合流した石狩川が,山地の迫る変成岩地帯を激流となって通過している.古くは舟,近くでは鉄道や道路など交通の難所である.峡谷の南岸を通る国道12号線の旧道に駐車場があり,北岸の旧国鉄駅まで歩行者専用の白い吊橋が掛かっている.
橋の袂には変成岩類の好露出があり,緑色片岩の中で褶曲した白い(写真では暗灰色に見える・・)石灰質部分が印象的.ここは地名を冠した神居古潭変成岩類の模式地であり,白亜紀後期まで続いた海洋地殻の西向き沈み込みにより付加体深部で低温高圧型の変成作用を受けて形成された.また,激流の痕跡として,様々なレベルの岩盤に大小の甌穴(亀穴・ポットホール)が見られる.これらは,河原の石が回転しながら岩盤を削ってできたものであるが,「魔神」の足跡とする伝承が残りっており,北海道の命名者である松浦武四郎も「石狩日誌」に記載している.
既存の指定など
「神居古潭渓谷の変成岩」として日本の地質百選
「神居古潭峡谷の甌穴群」として旭川市指定文化財・天然記念物
所在地
旭川市 神居町神居古潭
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参考文献
北海道開発庁(1953)5万分の1地質図幅「深川(旭川-48)」および同説明書.56p.
岩見沢地学懇話会,1986,地質案内 空知の自然を歩く.北大図書刊行会.