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溶岩台地がつくった天上の楽園

雨竜沼湿原

雨竜沼湿原 夏の終わりで渇水期であることもありこの程度の大きさの沼があちこちに散在している.【写真: 石井 正之】
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雨竜沼湿原の基盤岩類 緩く北に傾く礫岩・砂岩・泥岩の互層の上に柱状節理の発達する安山岩溶岩が載っている.奥の尾根の上部付近は玄武岩溶岩でこの溶岩の上面がほぼ湿原の高さとなる.【写真: 石井 正之】
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白竜ノ滝 ペンケペタン川にかかる滝で,砂岩層を抜いて貫入した玄武岩が滝を形成している.【写真: 石井 正之】
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最上部玄武岩溶岩のクリンカー部 ペンケペタン川左岸の標高830m付近に見られるもので,水を通しにくくなっているため湧水している.【写真: 石井 正之】
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雨竜沼湿原は西の南暑寒岳,北の恵岱岳,南の群馬岳に囲まれた標高840〜850mの湿原で尾白利加川の支流,ペンケペタン川の源流である.

この湿原の基盤は湿原に向かう登山道の向かい側に見られる一連の地層で,礫岩・砂岩・泥岩の上に安山岩溶岩と玄武岩溶岩が載っている.この最上位の玄武岩溶岩が湿原の直接の基盤となっている.この玄武岩は恵岱岳玄武岩類とされている.

白竜ノ滝はこれらの地層に貫入した玄武岩質の岩脈である.

白竜ノ滝の先の急登路を過ぎるとペンケペタン川の脇に出る.この付近に急に冷やされたためにレンガ色をした玄武岩溶岩の最上部が露出している.この粘土質な層が周辺の山から供給される雨水が地下に浸透するのを防いで湿原を形成する原因となっていると考えられる.

暑寒別岳および南暑寒岳は輝石安山岩で形成年代は暑寒別岳が2Ma,南暑寒岳が3Maである.恵岱岳は,かんらん石玄武岩で年代は3Maである.いずれも鮮新世末期に形成されたものである.

湿原の規模は東西約2km,南北約1kmで面積は101.5haである.湿原には泥炭層が分布しており,最大層厚3mで炭素年代測定による湿原形成は約9,500年前と推定されている.

【執筆者:石井 正之】

既存の指定など

暑寒別雨竜天売焼尻国定公園(1990年) 国指定「特別保護区」

北海道遺産選定(2004年)

ラムサール条約登録(2005年)

所在地

雨竜町 尾白利加川上流

参考文献

岩見沢地学懇話会,1986,地質案内 空知の自然を歩く.52-59.北大図書刊行会.
八木健三,柴田 賢,蟹沢聡史,1987,北海道西部の暑寒別岳地域火山岩類のK-Ar年代.火山 第2集,32(4),366p.
橘ヒサ子,高橋 勝,佐藤雅俊,佐々木純一,,2001,雨竜沼湿原木道周辺後背地の微地形と植生.北海道教育大学大雪自然教育研究施設研究報告,第35号,19-34.
佐藤博之,秦 光男,小林 勇,山口昇一,石田正夫,1964,5万分の1地質図幅および説明書「国領」.地質調査所.