支笏カルデラの北西にそびえる活火山
岩峰鋭い恵庭岳
恵庭岳は支笏カルデラ内の北西端に噴出した標高1319.7mの活火山である.約4万年前の支笏カルデラの大規模な噴火活動(支笏火砕流:Spfl)が起こり,後カルデラ火山として恵庭岳,風不死岳,樽前山が形成された.
恵庭岳の活動は約1.5万年前のEn-a降下軽石の活動に始まり,厚い安山岩溶岩の流出と溶岩円頂丘により現在の山体が形成された.恵庭岳の最後のマグマ活動は約2,000年前と考えられている.その後,山頂部から東に開いた山頂火口が水蒸気爆発で形成された.
山頂火口が形成された時にポロピナイ岩屑流とポロピナイ土石流が形成され,その年代は西暦1600年代初頭から1739年(樽前火山灰:Ta-a)の間と考えられている.
恵庭岳は札幌市街の豊平川から,その天を突く山体を見ることができるまた,石狩川沿いでは新篠津村付近からも遠望できる.
なお,2003年9月26日の十勝沖地震によると推定される大規模な崩落が発生し,2008年9月現在,頂上岩塔部への登山は禁止されている.
既存の指定など
支笏洞爺国立公園
所在地
千歳市 幌美内(ポロピナイ)
参考文献
中川光弘,増田健介,勝井義雄,1994,後支笏カルデラ,恵庭火山の最新の噴火活動.火山,第39巻(第5号),237*241.
宝田晋治,2005,日本の地質 増補版 I北海道地方 第6章 火山および火山噴出物.24p.共立出版.