岩体周縁部の破砕帯における酸化作用
雄冬岬の安山岩質塊状岩体
浜益から増毛にかけての海岸沿いは,切り立った崖が海に落ち込んでいるため人の往来が非常に難しい難所でした.この難所に,かつて「陸の孤島」と呼ばれた雄冬があります.この地形を作っている岩石が鮮新世頃に活動したとされる安山岩類です.
雄冬岬周辺(石狩市浜益区)には塊状の安山岩溶岩と凝灰岩類が分布しています.雄冬岬トンネルの南側口には厚さ50mほどの塊状の安山岩溶岩の露頭があります.この露頭の頂部(トンネル口の直上)では,一部が破砕しており赤褐色を呈しています.これは,冷却前の溶岩の破砕した部分が,亀裂や空隙ができることで空気に触れやすくなり酸化したためと考えられます.なおより地表部に近い部分では,赤ではなく茶色となっています.これは地表に晒されていたために風化作用を受けたものです.明瞭な色調の違いがありますが,高温酸化と風化の境界を明らかにすることは困難です.
この溶岩を国道に沿って南側に追いかけていくと,タンパケ橋に近づくにつれて,破砕が進むとともに赤味を帯びてきます.さらに南側では赤褐色岩片(スコリア)と層状構造をもつ凝灰岩が複雑に接しています.
既存の指定など
暑寒別天売焼尻国定公園
所在地
石狩市 浜益区雄冬岬
参考文献
Aoki,A. et al., 1999, Stratigraphy and K-Ar ages of Tertiary volcanic rocks in the Hamamasu area northern Hokkaido,Japan. J.Geol.Soc.Jap., 105, 341-351.