高さ250m の大絶壁とアーチ式ダム
豊平峡ダムのハイアロクラスタイト
豊平峡は,定山渓自然の村を過ぎたあたりから両岸が断崖絶壁となる.その中でも豊平峡ダム付近は比高250mを超す断崖となっている.この付近は岩壁の高さもさることながら,いくつかの岩峰があり独特の景観を呈している.
この付近を構成する地質は,定山渓層群のハイアロクラスタイト(水中溶岩)で,約1,000万年前に形成された.層厚は300m以上あり活発な海底火山活動があったことを示している.
豊平峡ダムの右岸側の岩壁はロックネットが施工されていたが,景観に配慮した対策工を実施して撤去した.対策工としては,ロックボルト工,岩壁背後からのアンカー工,ダム堤体への迂回橋梁工などである.
岩壁背後に立坑を掘削しアンカー工を施工した事例は日光華厳の滝の事例が有名であるが,全国的に珍しい工法である.
迂回橋梁は堤体に荷重をかけない片持ち構造(PCフィンバック橋) となっている.
既存の指定など
支笏洞爺国立公園
所在地
札幌市 南区豊平峡
参考文献
北海道開発庁(1953)5万分の1地質図幅「定山渓(札幌-29)」および同説明書.88p.
地学団体研究会札幌支部編(1984)地質案内 札幌の自然を歩く〔第2版〕,146-150.北海道大学図書刊行会.